2020年に登場した『Mortal Shell』は、独特のShellシステムと重量感のある戦闘で、Soulslikeファンの間で一定の支持を集めた作品だった。しかし、技術的な粗さやレベルデザインの難解さなどから、完璧とは言い難い評価に留まっていたのも事実だ。それから約6年の時を経て、開発元のCold Symmetryが満を持して送り出した続編『Mortal Shell II』が、2026年8月20日にPC、PlayStation 5、Xbox Series X/Sで正式リリースされた。
発売直前から解禁された批評家レビューは、予想を大きく上回る好評を博している。MetacriticではPC版が84点前後(Generally Favorable)、PS5版が86点前後を記録し、OpenCriticでも85点前後と、前作の76点を大きく上回るスコアを叩き出した。ネガティブな評価がほぼ皆無で、ポジティブレビューが8割を超えるという状況は、SoulslikeジャンルにおいてFromSoftware作品以外では珍しい高評価と言える。
本稿では、『Mortal Shell II』のMetacritic評価を軸に、ゲームの核心的な魅力、前作からの進化点、戦闘システムの革新、世界観と探索要素、批評家たちが指摘する長所と課題、そしてプレイヤーが知っておくべきポイントを、詳細に掘り下げていく。単なるスコアの紹介に留まらず、なぜこの作品が「ジャンルに小さな革命を起こす可能性を秘めている」と評されるのかを、具体的なメカニクスやレビュー内容を通じて明らかにしていく。

Mortal Shell IIとは何か:基本情報と位置づけ
『Mortal Shell II』は、Cold Symmetryが開発し、PlaystackがパブリッシュするダークファンタジーアクションRPGだ。前作のスタンドアロン続編として設計されており、前作をプレイしていなくても十分に楽しめる内容となっている。プレイヤーは「Harbinger(先触れ)」と呼ばれる存在となり、世界に散らばる倒れた戦士たちの「Shell(殻)」を憑依して戦う。
世界は荒廃したダークファンタジーの舞台で、偽の神々や異形の怪物が支配する。プレイヤーの使命は、Undermetherの盗まれたOvaを取り戻すことにある。ビジュアルは重厚なヘヴィメタルアルバムのカバーアートを思わせるゴシックでグロテスクな美学が貫かれており、スパイクだらけの鎧、剥き出しの肉、歯をむき出した怪物たちが、強烈な印象を残す。
プラットフォームはPC(Steam)、PlayStation 5、Xbox Series X/S。価格は基本版が49.99ドル前後で、Devout Edition(早期アクセス付き、専用スキンセット収録)が59.99ドル前後で提供された。早期アクセスは8月17日から開始され、批評家レビューもそのタイミングで集中的に解禁された。
Metacriticのスコアが84点前後(PC)という数字は、単なる「良いゲーム」ではなく、「ジャンルの中で際立った存在」であることを示している。Voxelが95点、COGconnectedやHardcore Gamer、GamingBoltなどが90点を付けるなど、高得点レビューが目立つ一方で、IGNやGameSpotが8点、一部が70点台とバラつきはあるものの、全体として「Generally Favorable」の領域にしっかり収まっている。
Metacritic評価の詳細分析:何がこれほど高評価を生んだのか
Metacriticのスコアを構成する批評家たちの意見を整理すると、共通して挙げられる強みがいくつか浮かび上がる。
まず、前作からの大幅な進化だ。多くのレビュアーが「前作の欠点をほぼすべて解消した」「技術デモのように見えてしまうほどの飛躍」と表現している。世界はコンパクトながら相互に繋がったオープンワールドへと拡張され、探索の密度と報酬性が向上した。レベルデザインはより直感的で、落ちて死ぬストレスが減り、発見の喜びが増している。
次に、Shellシステムの深化。前作の4体から倍の8体に増え、それぞれが明確に異なるプレイスタイルを提供する。単なる体力の違いではなく、パッシブ能力やアクティブアビリティが戦闘に大きな影響を与えるようになった。SkeletonのTiel、筋肉質のProxima、Lazlo、Sester Genessaなど、個性豊かなShellたちが登場し、プレイヤーは状況に応じて憑依を切り替えながら戦略を練る。
戦闘の革新も高評価の大きな要因だ。従来のSoulslikeの定番であるスタミナバーが廃止され、「Resolve」と呼ばれるシステムに置き換えられた。これにより、攻撃や回避を制限なく繰り出せるようになり、戦闘がより攻撃的で流動的になった。敵の姿勢を崩してクリティカルを狙う要素が強調され、 Harden(石化)メカニクスはSealというアイテムに組み込まれて戦略性が増している。
探索とビルドの深さも称賛されている。武器、Sidearm、Tarstone、Sealsなどを組み合わせて独自のビルドを構築でき、世界の隅々まで探索することで新しいShellや武器、アップグレード素材が見つかる。ダンジョンはゼルダ的な構造を持ち、各場所が固有の挑戦を提供するという指摘が多い。
一方で、課題として挙げられる点もある。ペース配分のムラ、時折の難易度スパイク、カメラワークの問題、一部のボスがアンブロック攻撃を多用する単調さ、リソース不足で複数の武器を完全に強化しにくい点などだ。しかし、これらは「全体の達成度を損なうほどではない」と多くの批評家が述べており、ネガティブレビューがゼロに近い結果に繋がっている。
OpenCriticではTop Critic Averageが85点前後、Critics Recommendが90%超という数字も、批評家層の幅広い支持を裏付けている。GameSpotのRichard Wakelingは「常に驚かされた」と書き、Shacknewsは「神への昇華」と表現。Rock Paper Shotgunは「90年代PCゲームの精神を持つヘヴィメタル続編」と評し、Elden Ring以降のジャンル停滞を打破する作品だと位置づけた。
戦闘システムの核心:スタミナなき攻撃性と戦略の両立
『Mortal Shell II』の戦闘を語る上で、スタミナバーの廃止は避けて通れない。多くのSoulslikeではスタミナが行動を制限し、「待つ」ことが重要な要素になる。しかし本作では、攻撃・回避・防御を比較的自由に行えるため、戦闘のテンポが加速する。代わりにResolveや姿勢崩しの概念が導入され、無闇な攻撃はすぐに死に繋がるバランスが保たれている。
Shellごとに固有の能力が戦闘スタイルを大きく変える。あるShellは近接特化で硬直を活かした戦いを得意とし、別のShellは遠隔や特殊アビリティで遠距離から優位を取る。Hardenは特定のSealに紐付けられ、状況に応じて装備を切り替える必要が生じる。これにより、単調な「回避と攻撃の繰り返し」ではなく、ビルドと状況判断が求められる。
敵のデザインも多様で、グロテスクで印象的なものが多い。ボス戦は時に「口ばかりの巨大な怪物」のような異様な見た目でプレイヤーを驚かせ、戦闘そのものも記憶に残るものが多いと評されている。ただし、一部のボスがテレグラフの分かりやすい攻撃やアンブロック攻撃を多用する点は、単調さとして指摘されることがある。
武器システムも深化した。近接と遠隔の両方を強化でき、Tarstoneを使ってクリティカル率やダメージを大幅に向上させることが可能。あるプレイヤーはクリティカルダメージを100%増加させ、5回に1回のクリティカルを保証するビルドを組んだという。リソースの制約はあるものの、実験の余地は広い。
オープンワールドと探索:密度と報酬のバランス
前作が比較的直線的でコンパクトだったのに対し、『Mortal Shell II』は相互に繋がったオープンワールドを採用した。広大すぎず、プレイヤーの時間を尊重した設計が意図されている。黄金ルートを外れれば新しいShell、武器、アップグレード、伝承、隠しミニボスなどが発見できる。
ダンジョンは各場所ごとに固有の挑戦を用意し、探索そのものが楽しいと多くのレビュアーが指摘する。ビーコン(休息ポイント)で回復すると敵が復活する定番要素は健在で、死ぬとレベルアップ通貨を落とすリスクも残る。世界の雰囲気は暗く絶望的で、ヘヴィメタル的なサウンドデザインと相まって没入感を高めている。
探索の報酬性が高いため、サイドコンテンツをこなすモチベーションが維持されやすい。ただし、一部のエリアで風景が単調に感じる、あるいは落下死が多いといった細かい不満も存在する。全体として、Elden Ringのような大規模オープンワールドとは異なる「コンパクトで密度の高い」探索体験を提供している点が、評価を押し上げている。
Shellシステムとビルドの自由度:クラスの再定義
本作の最大の特徴の一つが、8体のShellだ。前作の倍となったことで、プレイスタイルの幅が大きく広がった。各Shellには固有の能力と記憶があり、Glimpseという通貨を使って解放していく。単に「このShellを使えば強い」ではなく、状況や好みに合わせて切り替えることが推奨される。
ビルド要素として、武器、Sidearm、Seals、Tarstonesが絡み合う。Sealsは通常のSoulslikeメカニクスをアイテム化したもので、1つしか装備できないため選択が重要になる。Tarstoneは武器の強化に使われ、クリティカル関連のステータスを大幅に伸ばせる。これにより、「自分だけのビルド」を追求する楽しさが生まれている。
批評家の中には「Shellの多様性が戦闘の戦略性を高め、ジャンルに新しい風を吹き込んでいる」と述べる者もいる。Voxelは「Shellメカニクスが実験を促し、キャンペーン中の戦略立案に不可欠」と強調した。
批評家が指摘する課題と、それでも高評価な理由
完璧な作品ではない。ペース配分の問題、難易度の急上昇、カメラの不具合、バグの存在、リソースの制約によるアップグレードの制限などが指摘されている。特に後半で技術的な粗さが目立つという声や、一部のボス戦が退屈に感じられるという意見もある。
しかし、これらの課題は「全体の達成度を大きく損なうものではない」というのが共通認識だ。COGconnectedは「欠点はあるが、Cold Symmetryの全体的な達成によって矮小化される」と書き、Shacknewsは「前作のすべてのネガティブを解消した」とまで述べている。
このバランスが、Metacriticでネガティブレビューがほぼゼロという結果を生んでいる。ジャンルの定番を踏まえつつ、独自の工夫を加え、前作の弱点を克服したことが、批評家の心を掴んだのだ。
プレイヤーが知っておくべき実践的なポイント
初めてプレイする人向けに、いくつかアドバイスを挙げておく。
- 初期のShellをしっかり育てつつ、新しいShellを積極的に探すこと。状況に応じた切り替えが生存の鍵になる。
- 探索を怠らないこと。メインストーリーだけを進めると、ビルドの選択肢が狭まる。
- Resolveの管理と姿勢崩しを意識した攻撃的なプレイを心がける。防御一辺倒では苦しい場面が多い。
- TarstoneとSealsの組み合わせを実験する。クリティカル特化や特定の能力強化など、自分に合ったものを見つけるのが楽しい。
- 難易度設定やオプションがある場合は活用する。アクセシビリティの向上も評価点の一つだ。
プレイ時間はメインストーリー中心で20〜30時間程度、探索込みでそれ以上を見込める。前作を知っている人は、戻り要素やイースターエッグを楽しめるだろう。
ジャンルにおける位置づけと今後の展望
『Mortal Shell II』は、FromSoftwareの影が濃いSoulslikeジャンルにおいて、独自の道を切り開いた作品だ。スタミナ廃止による攻撃性の向上、Shellによるクラスの再定義、コンパクトなオープンワールドの密度。これらは「模倣」ではなく「進化」として受け止められている。
Rock Paper Shotgunが「Elden Ring以降の停滞を打破する」と評したように、ジャンルの可能性を広げる一作となった。ヘヴィメタル的な美学と、90年代PCゲームを思わせる自由で少し奇妙な空気感も、差別化に成功している。
Metacriticの84点前後という数字は、発売直後のものであり、ユーザーレビューが蓄積されるにつれて変動する可能性はある。しかし、批評家層の支持がこれほど厚い以上、長期的にも高く評価される作品になる可能性は高い。
まとめ:なぜ今、Mortal Shell IIをプレイすべきか
『Mortal Shell II』は、単なる続編を超えた作品だ。前作のファンはもちろん、Soulslikeを一度は諦めた人や、ジャンルの新展開を求める人にも強くおすすめできる。Metacriticが示す高評価は、決して偶然ではない。戦闘の革新、探索の楽しさ、ビルドの深さ、世界観の没入感が、バランスよく統合されている。
欠点はあるが、それを上回る達成感と発見の喜びがある。Cold Symmetryは、限られたリソースの中で、ジャンルに新しい息吹を吹き込んだ。2026年のゲームシーンにおいて、忘れられない一作となるだろう。
荒廃した世界でShellを憑依し、偽の神々に挑む旅は、あなたを待っている。攻撃的に、戦略的に、そして何より楽しんで、その世界を切り開いてほしい。