ホロウが世界を飲み込み、文明が崩壊した後の世界。最後の人間都市「新エリー都」で、表向きはビデオレンタル店を営みながら、裏では伝説のプロキシとして活動する兄妹がいる。プレイヤーはその兄妹のどちらかになり、危険なホロウを潜り、陰謀を暴き、過去の真実を追い求める──それが『ゼンレスゾーンゼロ』(以下、ゼンゼロ)のメインストーリーだ。
この記事では、世界観の基礎からシーズン1の詳細な流れ、その後の展開、主要なテーマやキャラクターの役割までを丁寧に整理する。ストーリーを既に体験した人も、これから始める人も、全体像を把握するためのガイドとして活用してほしい。ネタバレを多く含むので、未プレイの方は注意して読み進めてほしい。

世界の終わりと、最後の都市・新エリー都
ゼンゼロの舞台は、ホロウという異常空間が世界を席巻した後の時代である。ホロウは突如として現れる球体状の災害で、内部では時空が歪み、エーテルと呼ばれる物質が満ちている。長時間滞在すれば人間は侵蝕を受け、エーテリアスという怪物に変貌してしまう。
ほとんどの文明はこの災害に耐えきれず滅びた。しかし、旧エリー都の生き残りたちは、ホロウからエーテル資源を抽出し、活用する技術を手に入れた。こうして誕生したのが「新エリー都」だ。壁に囲まれたこの都市は、ホロウと共存しながら現代的な生活を維持する、人類最後の砦となっている。
都市の秩序は市政府や治安局(NEPS)、ホロウ調査協会などが支えているが、すべてが綺麗なわけではない。企業、ギャング、地下組織が複雑に絡み合い、ホロウを巡る利益と秘密が渦巻いている。プレイヤーが日常を過ごす六分街は、そんな混沌の中でも比較的穏やかなエリアで、ビデオレンタル店「Random Play」が物語の拠点となる。
ホロウの中でも特に重要なのが「ホロウ・ゼロ」だ。約11年前、この巨大ホロウが急激に拡大し、旧エリー都を飲み込んだ。政府はシユの柱と呼ばれる装置を爆破して拡大を抑えようとしたが、結果として都市は壊滅し、無数の犠牲者が出た。この事件の責任は、ヘーリオス研究所の研究者・キャロル・アルナに押し付けられている。しかし、主人公たちはその真相を疑っている。
伝説のプロキシ「パエトーン」──兄妹の二重生活
主人公はアキラ(Wise)またはリン(Belle)の兄妹だ。プレイヤーはどちらかを選び、もう一方はサポート役として物語に登場する。表では六分街でビデオ店を営む平凡な兄妹だが、裏ではインターノット上で「パエトーン」という伝説級のプロキシとして活動している。
プロキシとは、ホロウに入る人々を外部からナビゲートする存在だ。通常、ホロウ内では通信がほぼ遮断されるため、内部に入った者は自力で脱出しなければならない。しかしパエトーンは、特別な「HDD(Hollow Deep Dive)システム」を使い、改造バンブー「イアス」を遠隔操作してリアルタイムでガイドする。この技術は、彼らの師であるキャロル・アルナが関わったものとされている。
兄妹はキャロルの養子であり、彼女がホロウ・ゼロの災害で失踪した(あるいは責任を負わされた)後、真相を探りながらプロキシとして生計を立てている。日常と非日常の狭間で生きる彼らの姿が、ゼンゼロのストーリーの軸だ。
序盤で重要な出会いがある。依頼中にハッカーの攻撃を受けた際、金庫の中から強力なAI「Fairy」が出現し、HDDシステムに自らをインストールする。Fairyはホロウのナビゲーションやハッキングに優れた能力を持ち、兄妹の活動を劇的に強化する。ただし、彼女自身にも隠された目的があるようだ。
シーズン1:陰謀の連鎖と覚醒
シーズン1は、パエトーンが複数の勢力と関わりながら、徐々に大きな陰謀に巻き込まれていく過程を描く。
序章──邪兎屋との出会いとFairyの契約
物語は、何でも屋「邪兎屋」のニコが、金庫を巡るトラブルで助けを求めてくるところから始まる。アンビー、ビリーとともに金庫を回収しようとしたが、爆発でホロウに落ちてしまう。パエトーンは彼らを救い、さらに金庫の中身を巡る騒動に巻き込まれる。
ハッカーの襲撃で通信が途絶える危機的状況で、兄妹は金庫を開封。そこで出会ったのがFairyだ。彼女との「契約」により、パエトーンはさらに強力なプロキシへと進化する。この序章は、世界観とゲームシステムを自然に紹介しつつ、兄妹の日常とプロキシとしての覚悟を描いている。
第一章──猫又とヴィジョン社の陰謀
地下鉄改修工事を巡る事件で、猫又が登場する。ヴィジョン社が爆破を計画し、コスト削減のために市民を犠牲にしようとしていた。パエトーンと邪兎屋はこれを阻止し、社長のパールマンを逮捕に追い込む。しかし秘書のサラは逃亡し、後の大きな陰謀の伏線となる。
この章では、企業の腐敗と、プロキシが「正義」と「依頼」の間で揺れる姿が強調される。
第二章──白祇重工と犠牲の影
白祇重工の依頼で、暴走した機械を回収する任務が始まる。社長のクレダは、父親の失踪と会社の汚名に苦しんでいた。調査を進めるうちに、「サクリファイス(犠牲)」と呼ばれる人為的に作られた特殊なエーテリアスの存在が浮上する。
この章は、家族の絆や企業の再生を描きつつ、ホロウ災害を利用した人体実験の片鱗を見せる。
第三章以降──治安局、対空六課、外環、そしてブリンガー
第三章では高楼を巡る事件で、ヴィクトリア家政や対空六課の星見雅らと関わる。第四章では外環のバイカー集団「カリュドーンの息子たち」と出会い、第五章では星見家やサラの暗躍が加速する。
シーズン1のクライマックスは、治安局のブリンガー長官とサラ(賛美会=Exaltistsの一員)の陰謀だ。彼らは人類を「精錬」するためにホロウ災害を積極的に利用し、サクリファイスを作り出し、都市を混乱に陥れようとしていた。パエトーンは複数の勢力と協力してこれを阻止する。
この過程で兄妹は、自身の目に特殊な力が宿っていることを自覚し始める。ビビアンを侵蝕から救った際に発揮されたこの力は、後の物語で「ヘーリオスの遺産」や「ピュロイス」として重要になる。また、キャロル・アルナが無実である可能性が強まり、ホロウ・ゼロの真相が物語の核心に据えられる。
シーズン1全体を通じて、パエトーンは邪兎屋、白祇重工、治安局、対空六課、カリュドーンの息子たちなど、多様な勢力と信頼関係を築く。単なる依頼者から、都市の命運を左右する存在へと成長していく過程が丁寧に描かれている。
シーズン2:外環から半島へ、過去の影が濃くなる
シーズン1終了後、市長の依頼で兄妹は外環やワイフェイ半島へ向かう。ここで雲圭峰(Yunkui Summit)の易玄や、お化け屋敷、オボル分隊などと協力し、賛美会の残党による複数の陰謀を阻止する。
賛美会は「始まりの主」を崇め、人類をホロウに適応させようとする過激な思想を持つ組織だ。サラの敗北後も、その影響は残り続ける。シーズン2では、兄妹の力が徐々に制御不能になりつつあることが明らかになり、治療や制御のための新たな力が必要になる。
また、初代虚狩り(Void Hunter)の一人であるレミエールとの出会いが、物語を大きく動かす。虚狩りとは、市長から認められる都市の守護者的な称号だ。兄妹の目に宿る力は、この虚狩りの紋章と重なる部分がある。
シーズン2の終盤では、さまざまな勢力が動き、兄妹の過去──特にヘーリオス研究所とのつながりがより深く掘り下げられる。
シーズン3:天空の島ロスカリファと、知られざる過去
シーズン3では舞台が天空の島「ロスカリファ」に移る。ボンプ(バンブー)たちの理想郷とも言えるこの地で、兄妹はエーテル特異体「ピュロイス」の力を顕現させ、戦闘にも参加できるようになる。
ロスカリファは旧エリー都の機密特区でもあり、初代虚狩りたちの因縁が色濃く残る場所だ。ミス・サンブリンガーを巡る謎、バンブーの異常、レミエールの過去などが絡み合い、兄妹の知られざる歴史が動き出す。
3.1「ロング・グッドバイ」では、過去の悲劇が再び顔を出し、キャラクターたちの内面がより深く描かれる。単なる「陰謀を暴く」物語から、個人の喪失や贖罪、希望を巡る人間ドラマへとシフトしている印象が強い。
ストーリーのテーマと魅力
ゼンゼロのストーリーの強みは、派手な災害や陰謀だけではない点にある。
- 日常と非日常の対比:ビデオ店での穏やかな会話、近所の人々とのやり取りが、ホロウ内の緊張感を際立たせる。
- 多様な勢力の人間模様:どの勢力も一枚岩ではなく、個人の事情や信念が複雑に交錯する。
- 過去の罪と真実:キャロル・アルナの汚名、兄妹の出自、ホロウ・ゼロの真相が、徐々に明らかになっていく構造。
- 力の覚醒と代償:主人公の特殊な力は希望であると同時に、制御を失えば危険な存在にもなり得る。
開発側は「ありふれた人々の世界」を描きたいと語っており、叙事詩的な英雄譚ではなく、日常の延長線上にある冒険を重視している。だからこそ、キャラクター一人ひとりの感情がプレイヤーに響きやすい。
主要キャラクターと勢力の役割
- 邪兎屋(Cunning Hares):ニコ、アンビー、ビリー、猫又。初期の頼れる仲間であり、物語の導入部を支える。
- 白祇重工:クレダ、グレースなど。家族と企業の再生を描く。
- 治安局・対空六課:朱鳶、星見雅など。公権力側からの視点を提供。
- カリュドーンの息子たち:外環のバイカー集団。自由と絆をテーマにする。
- 賛美会(Exaltists):サラ、ブリンガーら。人類の「進化」を巡る過激思想。
- 雲圭峰・初代虚狩り:易玄、レミエールなど。過去の英雄たちの遺産と因縁。
これらの勢力が、依頼を通じて自然に交差し、物語を立体的にしている。
よくある疑問(FAQ)
Q. ストーリーはどれくらいの長さですか?
シーズン1だけでも数十時間規模。その後のシーズンも定期的に追加され、現在はシーズン3まで進行中。スキップ可能だが、世界観を味わうなら会話を聞いた方がいい。
Q. 兄妹のどちらを選ぶべき?
ストーリー上の違いはほとんどない。好みの外見や声で選んで問題ない。もう一方も重要な役割を果たす。
Q. ホロウ・ゼロの真相は明らかになるのか?
徐々にヒントが明かされているが、完全な決着はまだ先のようだ。キャロル・アルナの無実を信じる兄妹の旅は続く。
Q. エージェントストーリーとメインストーリーの関係は?
エージェントストーリーは各キャラクターの個人的な背景を深掘りするもので、メインの理解を助けるが、必須ではない。並行して楽しむと世界がより豊かになる。
Q. 今後の展開はどうなりそう?
ロスカリファでの出来事を経て、兄妹の力の本質、初代虚狩りたちの真実、そしてホロウ・ゼロの核心にさらに近づいていく可能性が高い。
まとめ──ホロウの先に待つもの
『ゼンレスゾーンゼロ』のストーリーは、単なるアクションゲームの背景ではなく、崩壊した世界で生きる人々の希望と傷を丁寧に紡いだ物語だ。伝説のプロキシとして危険な依頼をこなしながら、日常の温もりを守り、過去の真実を追う兄妹の姿は、プレイヤーに「なぜ戦うのか」を問いかけてくる。
シーズンが進むにつれ、陰謀はより深く、キャラクターの内面はより複雑になっていく。既にプレイした人も、改めて「道筋」機能で振り返ってみると、伏線の多さに驚くはずだ。これから始める人は、焦らずに会話を楽しみ、六分街の日常を味わいながら進めてほしい。
ホロウの向こう側に何があるのか。キャロル・アルナの真実は何だったのか。兄妹の力が導く先は、希望か、それとも新たな深淵か──その答えは、これからのアップデートが少しずつ明らかにしてくれるだろう。
新エリー都の夜は長い。しかし、パエトーンと一緒なら、きっと夜明けは近い。